2026.01.30
#book#architecture
book

【書評】アーキテクトの教科書

どんな本か?

Amason

エンジニアリングにおける「アーキテクティング」に主軸を置き、価値を生み続けるための設計手法や考え方を紹介する一冊です。 インフラ面を含んだシステム構成からアプリケーション設計まで、各フェーズで必要となる設計が章ごとに説明されており、幅広いレベルのエンジニアが参考にできる内容になっているでしょう。

また、「ビジネスの価値を生むためのソフトウェアをどう作るべきか?」という観点で議論が展開されているため、特定のアーキテクチャを押し付けることはありません。その代わり、様々な手法の中からトレードオフを吟味し、最適な判断を下すための示唆を得られます。

印象に残った点

1. リアルな開発現場で使える考え方だった

理想のシステム像を押し付ける論調ではなく、ビジネス要求をいかにシステムに落とし込み、価値を生み出すかという前提のもと議論が進められます。そのため「理想論ではこうだが、現場ではそううまくいかない」といった声に寄り添い、技術的な理想論に留まらない、リアルに使える設計思想を学ぶことができます。

個人的には、3章で紹介される「アーキテクチャドライバの特定」が特に深く刺さりました。 直近では新ブランド立ち上げプロジェクトを先頭で推進する立場を担っていましたが、そこでビジネス上の制約や品質特性などを事前に整理しきれておらず、プロジェクト後半になってその制約に苦しめられる経験がありました。 その後この本を読んだ時には「もっと早く出会いたかった...!」と強く感じましたし、この本がいかに現場に即した内容になっているかを裏付けるものでしょう。

2. 実装レベルの原則も紹介してくれている

「アーキテクト」という単語から受ける印象は人それぞれかもしれませんが、私はシステム構成(全体像)の意思決定をする人という感覚を持っていました。 この本ではシステム構成の設計における考え方のみならず、アプリケーション層の設計(アプリケーションアーキテクチャ)やデザインパターンにも言及しています。

終盤ではテストやCI/CDにも触れられており、システム開発の川上から川下まで網羅的に理解を深めることができる点でも、本書はおすすめです。

おすすめの読者

  • エンジニアになって1年ほど経過し、なんとなく全体像がつかめた人
  • 実装→設計に幅を広げている人・広げたい人
  • ビジネス価値とソフトウェアのクリーンさの両立に難しさを感じている人